「社会人のための英語回路構築トレーニング自習帖」著者のブログ

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英語―徒然なるままに(12)

以下は Kazuo Ishiguro の When We were Orphans の一節。読み返してみて、ふと目がとまったのが下線部です。「It’s time he looked forward.」の「he looked forward.」の部分は文法的には所謂「仮定法過去」。「仮定法過去」とは「現在の事実と異なることを仮定する場合に使われる」ことは知っています。しかし、ここでの使い方は「現在の事実と異なることを仮定する場合に使われる」ということを知っているだけでは不十分だと思います。‘It’s time’ の後に文が来る時は「もう〜していてもよい時だ」の意味になることを知っている必要があります。文法解説書には「(実際にはしていないが)」の注がついていますが、著者にはピンときません。以下の文では最初「He has to start looking ahead.」と言う表現があり同じことを言っています。著者は「仮定法過去」は「現在の事実と異なることを仮定する場合に使われる」だけでなく、話者の「心の揺らぎ」がある場合にも使われると理解しています。即ち、ここでは「もう前を向いていてもよさそうなものなのに」のイメージかと思います。このようなことを頭に入れて次を読むと「It’s time he looked forward.」がより生き生きとイメージ化されるでしょう。

Such precautions, however, had proved inadequate. For one morning I had overheard from the little attic room I had been given, my aunt talking with some friends down the drawing room. It was the sudden lowering of their voices that had first aroused my curiosity, and I soon found myself creeping out on to the landing and leaning over the rail.
‘He’s gone for hours,’ I could hear her saying. ‘It’s hardly healthy, a boy his age, sunk in his own world like that. He has to start looking ahead.’
‘But it’s only to be expected, surely,’ someone said. ‘After everything that’s happened to him.’
‘He has nothing at all to gain by brooding,’ my aunt said. ‘He’s been well provided for, and in that sense he’s been lucky. It’s time he looked forward. I mean to put a stop to all this introspection.’

「It’s time」は「単純不定詞」を伴うこともありますが、この場合は「単に・・・する時だ」の意味で「心の揺らぎ」はありません。映画 RIO BRAVO の主題歌「My Rifle, My Pony, And Me」の中に「It’s time for a cowboy to dream」という箇所がりますが「カーボーイが夢見る時だ」の意。

英語―徒然なるままに(11)

「a」か「the」か

皆さん、もし試験で次の(…)に「a」か「the」かのどちらかを入れよ、という問題が出たらどちらを選択しますか?

In fact, I cannot remember at all what came before and after this particular moment. What I have is (…) memory of walking into a classroom — Room 15 in the Old Priory — where the sun was pouring through the narrow cloister windows in shafts, revealing the dust hanging in the air.

ジーニアス英和大辞典によれば「memory」は可算名詞として「(・・・の思い出(of))」「記憶に残っているもの(人、経験)」の意で使えます。ですから上記の(…)には「a」も「the」も入る可能性があります。

形から「a」か「the」を検討すると「of walking into a classroom」が「memory」を修飾していますので「特定」の意識が働き「the」ではないかという気持ちになってきます。

しかし「the」をつけると「ある教室に入っていった思い出・記憶」がどの思い出・記憶なのかを共有できると思われる十分な環境があるかと言われれば、チョット無理です。ならば「a」が正しいということになります。上記の英文は Kazuo Ishiguro の When We Were Orphans の中の一節ですが「a」が使われています。「memory」という言葉はここで初めて使われています。ジャンケンする時「最初はグー」といいますが、基本的には「最初は a/an」と意識した方がよさそうだと思いました。

因みに「What I have is a memory of walking into a classroom」を Google 翻訳させたら「私が持っているのは教室に入ったという思い出です」でした。「the」の場合は「私が持っているのは教室に入っていく記憶です」。後者の場合は「記憶には色々な記憶があるが、その中で誰でも分かる教室に入っていく記憶」のイメージでしょうか。

「take」

「take」は古ノルド語の「taka」(触れる、つかむ、捕える)を語源とし古英語「tacan」を経て現在の「take」になりました。ノルド語とはインド-ヨーロッパ語族ゲルマン語派に属する言語の総称。デンマーク語・フェーロー語・アイスランド語・ノルウェー語・スウェーデン語などの諸語をさします。古英語というのは5世紀半ばから12世紀を中心にイングランドで使われ現代英語の祖語にあたる言語のことです。 バイキングによりイングランドに古ノルド語が持ち込まれ、古英語に影響を与えました。他のゲルマン諸語と古ノルド語は当時は相互理解可能であったようです。現在でもポルトガルのポルトガル語(ブラジルでもポルトガル語を話しますがポルトガルのポルトガル語とは異なりこの2つは区別されています)を話す人はスペイン語を理解するようですので、そんな感じだったのでしょうか(但し、スペイン語を話すからと言ってもポルトガル語は理解しません)。古英語に対して、古英語以降16世紀までの英語を中英語、17世紀頃までを初期近代英語それ以降を現代英語と言うようです。

「taka」「tacan」が実際にどのような発音されたのかは知りませんが、何となく「タク」の音が含まれていたのではないかと思い、思い浮かんだ「tax」を辞書(ジーニアス英和大辞典)で調べてみました。ラテン語の「taxare(手で触れて評価する、算定する)」が語源と出ています。一方 Concise Oxford にはラテン語の「taxare(censure, charge, compute)」が語源と出ています。「censure」には今では使われない「評価する、判断する」の意はありますがConcise Oxford は「手で触れて評価する」の意で使っているのかは著者には分かりません。著者には「tax」と「take」につながりがあるようには思えません。「tax」と「taxi」は直感的につながっていると思います。

「tax」を調べていた時に出てきた「taste」はジーニアス英和大辞典にはラテン語の「taxare」が語源と出ていますが、Concise Oxford にはラテン語の「tangere」(意味はtouch) が語源と出ています。前者が正しければ「taste」は「take」と同じ語源ということになりますが、後者が正しければ違います。Concise Oxford には「perhaps」と書かれているので、本当のところはよく分かっていないということでしょう。
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