(20)「あなたはどうしてここにいるの?」と「何があなたをここにこさせたか?」

前者の表現に見られるように、日本語では通常「人間」が主語になりますが、英語では「無生物」が主語になることが結構あります。私は、これは「英語では何かが何かをしなければ何も始まらない」という物の考え方が根底にあるからではないかと思っています。

更に、英語は「主語を立てる言語(主語の義務化)」で、頭の中の絵(イメージ)で一番目立つものが主語になることも「無生物」が主語になることが結構あることと関係しているものと思います。例えば日本語で「地震で大混乱が起った」というような場合、頭の中の絵(イメージ)で「地震」が一番目立てば “The (earth)quake” が主語になります。そうすると「地震が大混乱を連れて来た」のイメージになりますので “The (earth)quake brought chaos.” のような所謂「擬人法」が採用されるでしょう。もし「大混乱」が一番目立てば「The chaos was caused by the (earth)quake.」のような表現になると思いますが、前者の方が日本語のニュアンスには近いと考えます。
「擬人法」:比喩の中でも特に、人でないものを人格化し、人に例える手法を擬人法といい、読み手に対し、例えられる「人でないもの」に対する親近感を抱かせる効果が生まれるといわれています。(木はわたしに向かって手を振った/風が私を優しく撫でた)
後者は「あなたがここにいるのは何かがあなたを来させた結果であるハズだ、その何かは何か」と動機を問う形を取っています。“What made you come here?” “What brought you here?” のような表現になるでしょう。前者をそのまま英語にして “Why are you here?” とすると「あなたはここにいるべきではない、それなのに何故ここにいるのか」というニュアンスで受け取られることもあり得ます。

実際の授業では、例えば「道路の脇に1台車が駐車していた」というような場合「車」が一番目立てば “A car was parked at the side of the road.” “There was a car parked at the side of the road.” と言うべきところを、日本語をそのまま英語に置き直して “A car parked at the side of the road.” と言ってしまう傾向があります。「自分」が一番目立てば “I saw a car parked at the side of the road.” のような表現になるでしょう。