上記の邦文はミリオン・セラーになった渡辺和子さんの本の題名だ。以下はアマゾンの紹介文。

『Bloom where God has planted you.
置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。
咲けない時は、根を下へ下へと降ろしましょう。

「時間の使い方は、そのまま、いのちの使い方なのですよ。置かれたところで咲いていてください」
結婚しても、就職しても、子育てをしても、「こんなはずじゃなかった」と思うことが、次から次に出てきます。そんな時にも、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです。
どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。
現実が変わらないなら、悩みに対する心の持ちようを変えてみる。
いい出会いにするためには、自分が苦労をして出会いを育てなければならない。
心にポッカリ開いた穴からこれまで見えなかったものが見えてくる。
希望には叶わないものもあるが、大切なのは希望を持ち続けること。
信頼は98%。あとの2%は相手が間違った時の許しのために取っておく。
「ていねいに生きる」とは、自分に与えられた試練を感謝すること。』

邦文の題名は、実は英文の詞からの翻訳だそうです。英語でコミュニケーションするということを「頭の中の絵(イメージ)を、英語の音または文字で、英語の単語を使って、英語の語順でお互いに送り合う」ことと捉える著者の視点からは、非常に興味深い題材です。

「置かれた場所で咲きなさい」を英訳せよと言われたら、普通 “Bloom where you are placed.” とすると思います。 “where you are placed”は所謂「受動態」で動作主(by …)は明示されていません。

一方英文の “Bloom where God has planted you.”を直訳すれば「神があなたを置いたところで咲きなさい」となるでしょう。これではミリオン・セラーにはならなかったのではないかと思われます。しかし、これこそが英語的発想なのです(“where God has planted you”は所謂「能動態」)。

英語は「誰かが何かをしなければ何も始まらない」世界なので、動詞が使われている場合には、それが動名詞であれ、不定詞であれ、分詞(現在分詞、過去分詞)であれ常に動作主を意識する習慣をつけるとよいと思います。また、英語で自己主張する場合には、出来るだけ能動態で物事を考え、表現するのがよいと思います。

“Bloom where God has planted you.”と現在完了形になっていることにも注目して下さい(plantはplaceの意でも使われます)。これで「いつも神さまの意志で自分が生かされている」イメージがヒシヒシと伝わってきます。

“Bloom where God has planted you.”が非常に美しい響きを持つのは「Bloom」と「planted」が非常によく調和したイメージを持つ言葉だからでしょう。一方「置かれた場所で咲きなさい」も美しい心に響く言葉です。夏川りみさんの「花―すべての人の心に花を」の歌詞の中に「いつの日か、いつの日か、花を咲かそうよ」という部分がありますが、「置かれた場所で花を咲かせなさい」では、それ程には心に響かないですよね。言葉の持つ力をつくづく感じました。