著者は、英語でコミュニケーションするということを、
「頭の中の絵(イメージ)を、英語の音または文字で、英語の単語を使って、英語の語順で、お互いに送り合うこと」と捉えています。

この捉え方が的を射ているとすれば、英語を母語としない我々日本人が「英語を使える」ものにしようとすれば、次の練習を積むことが必須なことを示唆しています。
頭の中の絵(イメージ)を「英語の語順」に合う方法で上手に整理すること。即ち「誰が、誰に、何をしているか」、そして「どこで」「いつ」「なぜ」「どうやって」を意識的に意識すること。頭の中の絵(イメージ)をよく見ると、大抵の場合「伝わる」英語が喋れるということが長年の授業から確信を持って言えます。
この絵(イメージ)をいちいち日本語に訳さないこと。
英語の発音をチャンと身につけること。
英語の単語を身につけること。
英語の語順に慣れること。

本シリーズは英字新聞の記事を題材にした「‘の中の絵(イメージ)」「け儻譴涼姥譟廖岫ケ儻譴慮貊隋廚硫鮴發任后については、本ブログの「音の英文法」を参照下さい。そして一度は発音指導を受けることをお勧めします△砲弔い討蓮屬海譴鮠錣飽媼韻垢襪海函廖峇靴譴襪海函廚大切ですが、最初のうちは、どうしても日本語が先に浮かぶと思います。その場合は、その日本語を、もう一度「絵(イメージ)」に転換し、その「絵(イメージ)」をよく見て発話することをお勧めします。英語上達の鍵(特に『しゃべる』場合)は「日本語を介在させない」ということに凝縮される と思っています。

今回の話題は、「TPP参加問題」についてです。

見出し:Abe-Obama talks set stage for TPP entry
Zero tariffs not prerequisite to Japan joining multilateral talks
第1段落:Japan will not have to vow to remove all trade tariffs if it joins the Trans-Pacific Partnership trade initiative, Prime Minister Shinzo Abe and U.S. President Barack Obama confirmed Friday, setting the stage for the country’s early entry into the ongoing talks.
(The Japan Times 電子版: Sunday, February 24, 2013)


見出し
[英語の単語]
set the stage for:・・・の準備をする、をお膳立てする
tariff:関税、運賃、(ホテル・レストランの)料金
prerequisite :前提として(・・・に)不可欠の [to, for]。「necessary」でも同じ。
multilateral:多角的な、多数国参加の

[英語の語順]
Abe-Obama talks set stage :英語では、原則として、最初の言葉から動詞までが主語で日本語の「は」「が」が対応します。そして動詞の直後に前置詞がなければ、その語句は目的語の役割を果たし、日本語の「を」「に」が対応します。「安倍―オバマ会談舞台セットした」(新聞の見出しの現在形は過去を表します)

次に「for」と「前置詞」が来ていますので、ここからは「情報の追加」になります(不定詞の場合も同じ)。「情報の追加」は通常「前置詞」「関係代名詞」「現在分詞」「過去分詞」で始まりますが、「接続詞」で始まることもあります。
(1)「前置詞」で「情報の追加」が始まる場合は「of」を除いて、次の「前置詞」「関係代名詞」「現在分詞」「過去分詞」までが一塊の情報となります。
(2)しゃべる時には、この一塊の情報ごとに区切って話すと「絵(イメージ)」が伝わりやすいです。
(3)「前置詞によって追加された一塊の情報」は、イメージとしてはその前置詞より前の語句を修飾することになります。結果として日本語と英語の語順が逆になります。
(4)どの語句を修飾すると理解するかは文脈によります


for TPP entry:「TPP参加に向かっての」(直前のstageを修飾。従い、stageは本来「the stage」とすべきところですが、見出しのため省略しています)

Zero tariffs not prerequisite:「Zero tariffs」=「not prerequisite」の構造。「ゼロ関税は前提として不可欠のものではない」

to Japan joining multilateral talks:「Japan」は「joining」の意味上の主語。「Japan’s」と所有格にしてもよい。「日本が多数国参加の話し合いに参加することに」

第1段落:
[英語の単語]
vow:・・・することを誓う。「swear」「pledge」「promise」でも同じ。
the Trans-Pacific Partnership trade initiative:環太平洋パートナーシップ、TPP
ongoing:継続・進行している

[英語の語順]
Japan will not have to vow :「日本約束しなくてもよいだろう」

to remove all trade tariffs :「全ての貿易関税を取り除くことを」

if it joins the Trans-Pacific Partnership trade initiative:「日本がTPPに参加しても」

, Prime Minister Shinzo Abe and U.S. President Barack Obama confirmed Friday:「と、安倍晋三首相と米国大統領バラク・オバマが金曜日に確認した」

, setting the stage for the country’s early entry into the ongoing talks.:カンマ+現在分詞ですから実質新しい文です。意味上の主語は「安倍晋三首相と米国大統領バラク・オバマが金曜日に確認したこと」。

setting the stage :「このことが舞台をセットした」

for the country’s early entry:「日本の早期の参加に向かっての」(直前のstageを修飾)

into the ongoing talks.:「進行中の話し合いへの」(直前のcountry’s early entryを修飾)

以上をどのような日本語に置き直すかは、日本語の問題であって、英語の問題ではありません。英語の流れで絵(イメージ)がきちんと浮かんでくれば、それでよいのです。日本語と英語では語順・イメージを伝える順番が逆ですので、この流れに逆らって日本語を介在させると、読む場合はスピードが落ち、聞く場合にはスピードについていけません。しゃべる場合には、大抵の場合、日本語に対応する語句が直ぐには見つからないので(語彙のレベルが日本語と英語では格段の差があります)黙ってしまうことになります。しゃべる場合には日本語で認識してから英語に直すのではなく、頭の中の絵(イメージ)をよく見て、英語の語順で、自分が使える語彙を直接使うと旨く行きます。

この記事には写真も同時に掲載され、次の下線のような「新鮮な」表現もありました。
TPP talks are go: U.S. President Barack Obama and Prime Minister Shinzo Abe are all smiles after emerging from their summit talks at the White House on Friday.