「実践 日本人の英語」(マーク・ピーターセン著 岩波新書)を読んでいたら『「challenge+目的語」には「〜を挑発する」や「〜に異議を唱える」などの意味はあるが、「〜に挑戦する」という意味はない』と書かれている(p67)のにビックリしました。

著者は「challenge」の基本となるイメージは「〜に挑戦する」だと思っていました。早速手元にある英和辞書(E-Gate)を調べてみると、動詞の最初に「(人)に挑戦する」という訳語が出ています。次に「・・・に異議を唱える、・・・の正当性を問う」、更に「(人)に<・・・する>気を起こさせる、(関心など)を喚起する、(能力)を要求する」「(人)を呼び止める、誰何する」の訳語が載っています。手元の電子辞書(e dictionary)入っている英和辞書もほぼ同じです。

「・・・に異議を唱える、・・・の正当性を問う」という意味では、テニスでビデオ判定に持ち込むのを「チャレンジする」というのを何回も見たり聞いたりしているので著者にはお馴染みです。「審判に挑戦する」のではなく「審判の判定に異議を唱える」の意でしょう。

電子辞書に入っている英々を調べてみると、マーク・ピーターセン氏が言うように、確かに直接的には「(人)に挑戦する」という意味は載っていません。「challenge somebody to something/to do something」という構文で「to invite somebody to enter a competition, fight, etc. ; to suggest strongly that somebody should do something (especially when you think that they might be unwilling to do it.」の説明はあります。上記下線部の意味は「(人)に試合、競技会、コンペに出場するよう正式に招待する、誘う、依頼する」のハズです。「to challenge somebody to a duel」は「人に決闘を申し込む」の意(「人に決闘を挑戦する」と言っても意味は通るでしょうが)。

何故英和辞書に「・・・に挑戦する」の訳が載っているのかは、マーク・ピーターセン氏が言うように、分かりませんが、何となく上記のようなことが伏線になっているような気がします。取りあえず『「challenge」 には「・・・に挑戦する」の意はない』と頭の中をリセットしましょう。著者の電子辞書の和英には「何にでも力一杯挑戦してごらんなさい」は「You should approach everything with a strong will.」の訳が載っていて「challenge」「all your might」を使ってはダメと注書きがあります。

「・・・をやってみる」という意味で「挑戦する」を使っているのならば「try」がいいでしょう。それ以外は例によって「頭の中の絵(イメージ)」をよく見て「意訳」するのが安全でしょう。