日本語の「アイドル」は専ら芸能界の一部の人々を指します。

英語の「idol」は、語源がギリシャ語で「姿、形」を意味し、現在は日本語の「偶像」という意味で一番多く使われています。キリスト教では神以外の「神像」を意味し「偶像崇拝(idolatry, superstition)」は禁止されています。「落ちた偶像」は「a fallen idol」。

この度、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録されることになりました。キリスト教伝来は1549年。1614年にキリスト禁教令が発令され1873年にこの禁教令が廃止されるまで約260年間(1865年に世界を驚かせた「信徒発見」がありました)ひそかにキリスト教由来の信仰を続けていた人々がいましたが、この人々のことを「潜伏キリシタン」と呼びます。彼らは日本の一般社会や伝統的宗教と共生するために、表向きはキリシタンではないふりをして農民や漁民として生活しつつ、ひそかに共同体を維持して自分たち自身で信仰を実践しました。そのような社会的潜伏を続けるために、キリスト教由来の聖画や信心具を秘匿しつつ、一見するとキリスト教とは無関係なもの(キリスト教的には「偶像」)に自分たちの信仰を重ねて拝み、在来宗教を装うことが容易な場所や人が近づかない未開地を開拓して移り住むという特徴的な文化的伝統を育みました。ヨーロッパでもキリスト教信仰が急激に落ち込んでいるようですが、著者が訪れたことのある五島列島は別世界でした。素朴です。その意味で新鮮です。

■英語の「idol」は、「崇拝される人」の意で「make an idol of the founder of the religion(教祖を崇拝する)」のように使われます。勿論「a TV idol(テレビのアイドル)」のように日本語の「アイドル」と同じ意味でも使われます。

■同じ発音で「idle」という語がありますが、こちらは「怠けた」「仕事をしていない」「使用されていない」の意。「アイドリング禁止」の「アイドリング」はこの動詞形です。