今回は我々日本人の間でも本来の使い方からすれば「間違って」使っているものを取り上げてみました。

先ず、皆さんに質問です。「世間ずれ」の意味は次のどちらでしょうか?
(1) 世間を渡ってずる賢くなっていること
(2) 世の中の考えからずれていること

年配の方は(1)を選択すると思います。「世間ずれ」とは「世間で摺れた」という意味で「床ずれ」「靴ずれ」「股ずれ」と同じ使い方です。「世間からずれている」の意ではありません。

「世間ずれ」を著者の電子辞書(和英)で調べたら「sophistication」と出ていますし、英和でも「洗練された」の意の他「世間ずれした、すれっからしの」の訳も出ていますが、日米口語辞典(朝日出版社)では「sophisticated」は悪い意味で使われることは余りないと解説していますので避けた方が無難でしょう。意訳して「too wise to the ways of the world」(例えばNobody wants to marry a girl who is too wise to the ways of the world.)を使うのがよいでしょう。「the ways of the world」は「世のならい」の意。

もう一つ、皆さんに質問です。「噴飯もの」の意味は次のどちらでしょうか?
(1) 腹立たしくて仕方ない
(2) おかしくてたまらない

本来の使い方は(2)です。「噴火」「噴射」の「噴」です。「口の中の飯を噴き出してしまうほどおかしくてたまらない」が正解です。英語にする時は文脈から最も相応しい言葉で説明するとよいでしょう。
(1) funny (おかしい、面白い、滑稽な)
(2) ridiculous (<人・外見などが>滑稽な、おかしな)
(3) absurd (<理屈に合わず>おかしな、こっけいな)
(4) comical (こっけいな、おどけた)

夏目漱石の「草枕」に「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される」とありますが、「流れに棹さす」の本来の意味は「棹を使って流れを下るように、大勢のまま進む」ですが、誤って「時流にさからう」の意で用いられていることもありので要注意です。

今回は「学士会会報7月号」の北原保雄氏の講演録を参考にさせて頂きました。