「トラベルエージェント」「CIAのエージェント」「フリーエージェント」等は時々耳にする言葉です。

この「agent」はラテン語の「agentem(行っている)」が語源で、現代でもこの「行う」というイメージを引きずった使い方がされています。

(1) ある英々では「a person whose job is to act for, or manage the affairs of, other people in business, politics, etc」と説明しています。英和辞典では「代理人」「代理店」「特約店」「仲介者」「周施人」等の訳語を当てています。次のような使い方がされます。「agent」はあくまで「a person」の意味ですので注意して下さい。

travel agent(旅行業者)⇒代理業務を行う場所は「agency」といいますので「travel agency」は「旅行案内所」「旅行会社」
advertising agent(広告代理人・広告取次人)⇒「advertising agency」は「広告代理店」。ある辞書では「advertising agent」に「広告代理店」の訳を当てています。この場合は必ずしも代理業務を行う場所を意識したものではないと思います。実質「広告代理人・広告取次人」と変わらないと思います。
insurance agent(保険代理人)⇒「insurance broker」ともいいます。「保険会社」は「insurance company」。
real estate agent(米:不動産業者)
buying/purchasing agent(買付代理人)
commission agent(委託販売人)
shipping agent(海運業者)

(2)広い意味ではこの範疇に入ると思いますが、アメリカでは1つのカテゴリーとして捉えている使い方があります。「a person whose job is to find work for an actor, musician, etc, or to find somebody who will publish a writer’s work」。私の息子の友人(アメリカ人)が日本の某有名俳優のアメリカでのエージェントをやっている人がいて「彼がもう少し英語が旨くなるともっと仕事を取ってこれるのに」と言っています。彼は「theatrical literary agent」の範疇に入るでしょう。敢えて日本語に置き直せば「俳優のための業務代行者」。本の出版のときの権利関係にからんで交渉する場合に出て来るが「literary agent(著作権代理人)」です。

(3)「CIAのエージェント」という場合の「エージェント」は「secret agent」の意味で「諜報部員、スパイ」の意です。「諜報部員、スパイ」も誰かの為に特定の業務を行うという意味では本質的には(1)(2)の使い方と変わりません。

(4)「a person or thing that has an important effect on a situation」の意でも使われます。日本語では「〔変化をもたらす〕主体、手段、媒介、作用因子」の訳が与えられています。「The charity has been an agent for social change.」(思いやりは社会変革の原動力となってきた)。蜂は受粉の仲立ち役をしますが、この「仲立ち役」も「agent」で表現できます。

(5)広い意味で上記の範疇に入りますが「a chemical or a substance that produces an effect or a change or used for a particular purpose」の意でもよく使われます⇒〔ある結果を引き起こす〕化学[作用・原因]物質。「洗剤」は「detergent」「cleaning agent」。「漂白剤」は「bleach」。

ところで「フリーエージェント」とは本来は「someone who is not responsible to anyone else and can do what they want」の意味ですので、イメージとしては「一匹狼」です。プロ野球の世界では「自由契約選手」と訳されています。「agent」は特定の人の為に何かを行う訳ですが、これからフリーになった人のことをいいます。プロ野球選手ならどの球団の為に野球をしててもよいということです。