「up / down」

日本の鉄道では東京方面に行くのが「上り」、その反対が「下り」だと思っていましたが、正式には各線とも「起点」と「終点」があって「起駅に向かうのが『上り』」、逆が『下り』らしいです。しかし大抵の駅は東京駅に近い駅を「起点」としているようですので常識的な感覚と合致しています。東京の山手線は品川が起点、田端が「終点」ですが「内回り」「外回り」という使い方をしています。「御上りさん」は「都会(特に東京)に出てきた田舎者をからかう言葉」です。「京に上る」は「皇居のある土地に行く」の意ですが(例えば「上京する」)、「京」は「京の五条」とか「京美人」というように「京都」を指しことがあります。何れにしても時の「中心地」を中心に「上り」「下り」が決まってくる感じです。

英語では「上り」「下り」に対応する語は「up」「down」です。この場合の「起点」は「大都会」「北」になります。イギリスの名門ケンブリッジ大学はロンドンの北に位置しているのでケンブリッジ大学を卒業してロンドンで就職するような場合は「come/go down from Cambridge to London」というような表現になりますが、決して「都落ち」ではありません。日本語感覚では「ケンブリッジからロンドンに上京した」でしょうか。

上記で「come/go」と方向が正反対の言葉を羅列しましたが、これは「視点」をどこに置くかで使い方が決まってきます。「come=来る」ではありません。「ある特定の地点に近づく」イメージの時に「come」が使われますので「come=行く」になることもあります。会話の相手の所に「行く」場合は「come」です。「When shall I come?」は「何時に/いつ行きましょうか?」となります。

このように習慣的になった言葉の使い方は作文する時は推敲できますので正しく使えますが、日常の会話ではしばしば混乱が起きます。著者の娘は、小さい時にアメリカで生活していた所為か、未だに「行く」と「来る」を混同して使っています。

習慣といえば、日本語では「ここ」「そこ」「あそこ」と場所の認識に対応する言葉が3つありますが、英語では「here」と「there」しかありません。英語は「yes」「no」の2つで割り切りますが、日本人はどうも「二者択一」が苦手のようです。沖縄で県民投票の話がありますが「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択で落ち着いたようです。