「walk」

よく知っている英単語が我々では予想もつかないような意味で使われることがあります。「walk」もその1つでしょう。下記の英文を読んでみて下さい(Kazuo Ishiguro : When We Were Orphansから)。

It was indeed a concept that fascinated me, this notion that he was in some mysterious way connected to various of the higher walks of life, even though he looked and behaved no differently from the rest of us.

「walk」は名詞では通例「散歩,歩行,歩道、歩行距離、歩き方」の意味になりますが、いずれも「歩く」イメージがありますので文脈さえあればこのような日本語を対応させることは比較的楽だと思います。「四球」も一塁に「歩いて」行きますので「walk」から類推するのは難しくないでしょう。上記の英文(「various of the higher walks of life」)は「より高いwalks of lifeの数人(にコネがある)」の意ですので「散歩,歩行,歩道、歩行距離、歩き方」の何れも当てはまらないことは一目瞭然です。「walk」はここでは「職業、身分」の意です。「a walk of life」の形で使われるとこの意味になるようですので一種のイデイオムと考えてもよいでしょう。「a walk of life」の文字通りの意味は「人生の歩み」です。Google翻訳もこれと同じ訳をしています。そうすると「various of the higher walks of life」は「より高い人生の歩みの数人(にコネがある)」の意となりますので勘のいい方は何となく「上流階級の人々」と理解するかも知れませんが「上流階級」なら「upper class」と表現されるでしょう。調べてみると「a walk of life」の類語は「background」です。ですから単に「職業、身分」の意だけではなくこれらを含めたもっと広い意味を持つように思われます。

日本語にも「世渡り」という言葉がありますが「walk」にはこの意もあります。これには「歩く」イメージがあります。人間が歩いて来た道はその人の「background」です。歩いてきた結果が現在の「職業(job)」「(社会の中の)身分(position)」というイメージでしょうか。