「climax」は「クライマックス」として日本語化しています。ですから英語に関心ある方なら「climax」が『「cli-」+「max(最大)」』で構成された語であると容易に推測できるでしょう。Concise Oxford Dictionary によれば「climax」の語源はギリシャ語からラテン語になった「klimax」で、「はしご」を意味しました。

ジーニアス英和大辞典では「はしご⇒1段ごとに登る⇒頂上」という解説をしていますが、著者は「はしご」を何かにかけた時にできる「直角三角形」の形と関係があるのではないかと思っています。「角をなす直線の交わる点」を「頂点」といいますが、このイメージから作られた語ではないでしょうか。「ピタゴラスの定理(直角三角形の斜辺の長さをc、他の2辺の長さをa、bとすると、a2+b2=c2であるという定理)」を発見したピタゴラスはギリシャの人です。「climax」の語源も元を辿ればギリシャ語です。

「はしご」を何かにかけた時にできる「直角三角形」のイメージからは「はしごは傾いて」います。そうすると「cli-」には「傾斜」のイメージがあるハズです。「cli-」を使った言葉で検討してみます。

「incline」:『「in-(中に)」+「cline(傾斜)」』で「傾ける、傾く」「気持ちにさせる、心が傾く」。
「decline」:『「de-(下に)」+「cline(傾斜)」』で「断る」。ジーニアス英和大辞典では「de-」を「分離」としていますが「下に」と捉えた方がより直線的にイメージできます。
「recline」:『「re-(後)」+「cline(傾斜)」』で「もたせかける」。
「climate」はギリシャ語の「klima」が語源で「slope, zone」を意味しました。「赤道から両極への傾き」具合によって気温、天候に変化が生じることから「気候」の意になったようです。
「climb」:この単語は「cli-」が使われていますが「clay(粘度)」と関係があり「くっつく」イメージのドイツ語系の言葉をルーツとしています。「climb」の意味は「手足を使ってよじ登る」。手足を使ってよじ登るには傾斜が必要ですが、「傾斜」を意識した言葉ではありませんので「climax」と同じ範疇で論じる言葉ではないと思います。

今回は日本で流布している既存の解説に敢えて異論を唱えてみました。