「all in a day’s work」

先日「save one’s bacon」を取りあげた時、英語外人の我々日本人が英語のイデイオムを「正しく」理解することの難しさを改めて感じました。そんな中、昔買った「通じる英語 Idioms for Business(シャーロット・マカドール 井上謙治 編訳:新潮選書 1985)」の中に表題のイデイオムを見つけました。

all in a day’s work (unrelated to usual duties) 不愉快だがよくある;毎度の;余計な仕事で。[本来の仕事と関係のないことをしなければならないときに使う]
After typing letters I sometimes must repair our copying machine, but it is all in a day’s work for me.(手紙をタイプしてから、コピー機を修理しなければならないこともあるわ。でも、面白くないわ、よくあることだけど)

「all in a day’s work」の文字通りの意味は「全て1日の仕事の中に(ある)」ですので、著者の受け止め方は上記の解説と若干ずれます。他の情報源をいくつか探ってみます。

(E-Gate)
口語:日常茶飯事のありふれたこと / Shoveling snow is all in a day’s work in Nagano. 雪かきは長野では日常のことだ

(ジーニアス英和大辞典)
略式:よくあり(起り)得ることで、ごく普通の(当り前の)ことで(厄介)なこと・思いがけないことであってもやすやすと対処できるという含みで用いる)

(Weblio)
まったく日常の[普通の, 当たり前の, 珍しくもない]ことで 《★「我慢しなければならないこと」の意を含む》

(英辞郎)
〔不快だが〕よくあることで、いつもながらのことで、全く当然[当たり前・日常]のことで、大したことではなくて

(Cambridge Dictionary)
If something difficult, unpleasant, or strange is all in a day's work for someone, it is a usual part of their job:
When you're a nurse, cleaning up vomit is all in a day's work.

(Longman)
if something difficult, unpleasant, or unusual is all in a day’s work for someone, it is a normal part of their job

(Merrian-Webster)
part of a person's typical work : Solving violent crimes is all in a day's work for these police detectives.

(MACMILLAN)
used for saying that you are willing to do something or are able to deal with it because it is part of your normal job or activities
‘Thanks so much for helping.’ ‘It was nothing – all in a day’s work.’

(THE FREE DICTIONARY)
Of a task, normal and ordinary. This phrase is often used humorously to minimize an aspect of one's job that is particularly good or bad.
Oh, solving technological crises is all in a day's work for those of us in IT. I can't believe I had to unclog a toilet today, but all in a day's work, I guess. Dealing with screaming kids is all in a day's work when you're a pediatrician.


著者が「通じる英語 Idioms for Business」に違和感を覚えた」のはどこなのかを振り返ってみます。
(unrelated to usual duties)と[本来の仕事と関係のないことをしなければならないときに使う]の2つの記述は「in a day’s work」のイメージに反する?と受け取ったことが根本にあると思います。「本来の仕事」が「メインの仕事」の意味で使われていたのなら理解できます。
◆崋蟷罎鬟織ぅ廚靴討ら、コピー機を修理しなければならないこともあるわ。でも、面白くないわ、よくあることだけど」の例文が不自然。タイピストがコピー機の修理までしなければならないという話は聞いたことがない。

日本人が英語のイデイオムを解説する場合、自分はそのイデイオムがどんな場合に、どんなニュアンスで使われるのか熟知しているわけではありませんので、少なくとも今回著者が調べた程度のことをした上でなければ知ったかぶりで解説するのは「危険」だと思います。この本が出版された1985年以前はまだ今みたいに簡単に情報が集められなかったことが遠因にあると思います。上記の解説を見ても日本語の解説と英語の解説との間には若干ニュアンスの違いが感じられます。イデイオムを調べるときは1つ2つの英英辞書は調べた方がよさそうです。

もし著者がザックリと解説するなら「all in a day’s work」は「これも仕事の内」。