映画『寅さん』シリーズの中で、寅さんと岸恵子がいっしょにフランスパンを買うシーンがある。いつもの河原のすぐ近くに、タバコ屋兼パン屋兼駄菓子屋みたいなレトロな店があって、ガラスケースの上に「関口フランスパン」という看板が立っていて、バゲットが並べられている。岸恵子が「バゲットとロールパン」を注文したあと、「私、財布忘れてきちゃった」と言って、寅次郎が払ってあげる。しかし、柴又には、実際には「関口フランスパン」店はなかったハズ。

この「関口フランスパン」は知る人ぞ知る日本で最初にフランスパンを製造・販売したところらしい。こんなことも知らないで「フランスパンが云々」していたらチコちゃんにしかられるよ。

このフランスパンが誕生したきかっけはとても古く、明治20年にローマ法王(レオ13世)の使者が来日した頃まで遡るらしい。使者と共にやって来たあるフランス人神父が、教会が経営する孤児院の子供たちに何か仕事を身につけさせようと考えた結果、「パン作り」を思いついたという。この教会は現在の東京カテドラル関口教会。子供たちの中から1人を選び、フランス領インドシナ(現在のベトナム・ラオス・カンボジアを合わせた領域に相当する。仏印)に留学させた。もちろん、パン作りの技術を学ばせるため。やがて その子供が帰国し、後に教会内に製パン工場を作ったのだとか。それが1888年。今から130年以上も前のことである。ネットで調べたらフランスに派遣してパン作りを勉強させたという記事もあるが、当時のフランスは日本から遠すぎる。ベトナムはカトリック教徒が多く、またパンも美味しいらしいので多分現在のベトナムに派遣されたのだと思う。