米中通商協議がワシントンで再開した4月3日、クドロー米国家経済会議委員長は、知的財産権の窃盗や技術移転の強要、サイバーハッキングといった問題の存在を中国が初めて認めたと語った(呉軍華・日本総合研究所理事:4月12日日経朝刊)。
これが事実ならば、米中の協議はトランプ政権の望む方向で進んでいるのだろう。この見立てが正しければ、米国と中国が協議に合意し、貿易戦争がひとまず終わる日はそう遠くないと予想できる。貿易戦争の終焉は一般的に日本では歓迎されるであろう。

問題はその先である。

何人かの人たちが指摘しているように、米中通商摩擦の根底にあるのは「自由民主主義市場経済」対「社会主義市場経済」の戦いである。

著者はエコノミストではないので、論理的には説明できないが、次の理由で後者に軍配があがるのではないかと思う。
(1) アメリカの人口約3億人に対して中国は約14億人と4倍以上。潜在的な成長力は圧倒的に中国有利。
(2) 中国は「独裁」なので、環境保護とか労働者保護の観点からの「コスト」を抑制するのに民主主義のアメリカより断然有利。
(3) テレビで見る限りだが、中国人は「金儲け」が大好きで、普通のおばちゃんまで投資に熱心。
(4) 中国は国家プロジェクトとして「開発」を進めており「特許」申請数も日本を抜き世界第2位でアメリカに肉薄中。中国には海外に留学してから帰国し、中国の経済発展を支えてきた「海亀族」と呼ばれる人材が300万人超いる。彼らの中には米国で最先端技術を研究してきた人材も少なくない。

米中双方が大量の核兵器を持った現在、武力での制圧は現実的には無理。アメリカが勝ち残るチャンスは中国の「内部崩壊」しかない。

中国は「一帯一路」を進めているが、最近、親中国各国に離反の予兆があるようだ。ベネズエラでは対中国の債務不履行が取りざたされている。もし実行されるようなことになれば、対中国債務で苦しむ国々が続くことも考えられる。そうなると中国にとっては悪夢であろう。アメリカがベネズエラに介入して「親米政権」の樹立を企てていると解説されているが、「親米政権」になれば結果として対中国の債務不履行のカードを手に入れることもできる。「内部崩壊」にボデイ・ブローのように効いてくるかもしれない。