at all

The ladies’ powder room was located in the lobby area of the restaurant, and the others – those who noticed her exit at all – no doubt assumed that was where she was bound.
(Kazuo Ishiguro : When We Were Orphans)

我々がよく知っている「at all」は「I’m not at all afraid of the dark.(暗いところは全然怖くないよ)」のように「not」と一緒に否定文で使われるものです。「at all」の文字通りの意味は「全てにおいて」ですので「not at all」は「全てにおいてない」ですので「全然・・・ない」の意味になるわけです。

疑問文で使われたら、どんな意味になるでしょうか?
(1) What do you want to do at all?
文字通りの意味は「全てにおいて君は何を望んでいるのか」ですから、日本語としては「いったい」とか「そもそも」等が対応します。
(2) Can you cook at all?
文字通りの意味は「全てにおいて君は料理が出来るのか」ですから、日本語としては「多少は」とか「少しは」等が対応します。

それでは上記の例文のように肯定文で使われる場合はどうでしょうか?
文脈を追ってみると「女性トイレはそのレストランのロビー空間にあった、そして彼女を除く他の人々は全部―those who noticed her exit at all―間違いなく彼女はトイレに行くものだと思った」となります。「彼女を除く他の人々は全部」と言った後で、彼女が出て行くのを見なかった人もあるかも知れない、という意識が働いてthose who noticed her exit at allをつけ加えている文脈です。「ある条件を付け加える」意識ですので「彼女が出て行くのを見た人があれば全員」のニュアンスになります。英和辞書では「(条件節で)多少なりとも、ともかくも、いやしくも、かりそめにも」のような説明がしてありますが、訳語に引っ張られることなく「if 節で使われていれば『強調』、if 節でなければ『ある条件を付け加える』」と理解した方がよいでしょう。そして文脈に応じた日本語を対応させて下さい。