中国の「新彊ウイグル自治区」での暴動に中国軍隊が出動して鎮圧したとか、チベットの宗教とかカトリックを敵対視するニュースは時々耳にします。共産党1党支配を脅かすものは一切排除する姿勢が鮮明です。この背景の1つに「中華思想」があると言われています。英語では「Shinocentrism」と言いますが、1口で言えば「漢民族を世界の中心とみなす」自民族中心主義の思想です。

漢民族は、中華人民共和国(中国大陸)、中華民国(台湾)、シンガポールで大多数を占める民族。 人類の20%を占める世界最大の民族集団。中華人民共和国の人口の94%以上を占めます。

ところが、その根底にある「中国(=漢民族)4千年の歴史」という歴史観は、史実とは全く異なっています。

王朝の歴史を辿ってみます。
唐(618年 - 907年)は古代、北アジアで活躍した遊牧民族である「鮮卑(せんぴ)」民族の王朝です。

宗:
960年―1279年。この時代も、内モンゴルを中心に中国の北辺を支配した契丹人(キタイ人)耶律氏(ヤリュート氏)の征服王朝である遼(りょう)とか1038年にタングートの李元昊が現在の中国西北部(甘粛省・寧夏回族自治区)に建国した大夏(たいか)が並立していました。

元:
元は、あの有名なチンギス・ハーンを祖とします。中国本土とモンゴル高原を中心領域として、1271年から1368年まで東アジアと北アジアを支配したモンゴル人が建てた征服王朝です。

清:
ご存知のように中国史上,最後の王朝(1636〜1912)。満州族の建てた征服王朝。

現在の中華人民共和国のある地域は、中央アジアを中心にシベリアからアナトリア半島(トルコ共和国のアジア部分)にいたる広大な地域に広がって居住するテュルク諸語を母語とするテュルク系民族、モンゴル系民族、満州からシベリア・極東にかけての北東アジア地域に住みツングース語族に属する言語を母語とするツングース系民族など様々な民族が住み、栄枯盛衰を繰り返してきたのです。中国語は同じ中国語でも北京語と広東語が全くことなるように場合によっては中国語の通訳を2人もつけないと全く通じないことがありますが、このような背景があるのでしょう。

漢民族は他の民族を「夷狄(いてき)=野蛮な異民族」と呼んできましたが、現代の「中華思想」は、アヘン戦争以降の米欧列強、さらには日本の侵略を経て「優れた文明が暴力で蹂躙された」という被害者史観が非常に強い(楊海英 静岡大学教授)という面が強そうです。

個人ベースであれ、団体ベースであれ、ましてや国家レベルでの「被害者史観」というのは困ったものです。