参考書が発行される試験は、GTEC▽TOEFLiBT▽TOEIC――の三つ。3試験はこれまでも実施団体が参考書を出しているが、入試で使われることになっても発行を継続するという。

TOEIC(トーイック)を運営する国際ビジネスコミュニケーション協会は、「受験生が実力を発揮できるよう、試験内容をきちんと理解した上で受験してもらいたい」と説明しているようです。参考書の問題の質を保つため、あえて試験を担当するスタッフが双方の作問に携わるという。

TOEICとは、英語を母語としない者を対象とした、英語によるコミュニケーション能力を検定するための試験です。試験の開発、運営、試験結果の評価は、アメリカ合衆国の非営利団体である教育試験サービス(ETS)が行っています。また、ETSはTOEFL(Test of English as a Foreign Language = 「外国語としての英語のテスト」、トーフル)も主催しています。「受験生が実力を発揮できるよう、試験内容をきちんと理解した上で受験してもらいたい」と説明しているようですが、「試験内容をきちんと理解した上で受験」とは「試験形式・配点等は毎回同じなので、繰り返し練習することによって『慣れ』によって点数をアップすることができますよ⇒だから参考書を購入して下さい」が本音だと思います。著者も昔、TOEIC参考書を使って生徒に「対策」させた経験がありますが、対策の効果は大きいです。「参考書の問題の質を保つため、あえて試験を担当するスタッフが双方の作問に携わる」というのは、従来通りのやり方で新規投資はしないということでしょう。著者の理解では、ETSは問題作成を委託作成させ、その中から「合格」した問題だけを出題しているハズ。「不合格」になった問題が「参考書」に回っているのではないでしょうか。ですから参考書のために新規に問題を作成する「投資」は不必要だと推察しています。

一方、GTECを実施するベネッセコーポレーションは「試験の問題作成と対策本、講座の制作担当者を完全に分離する」と強調する。GTECは英検のベネッセ版と考えてよいでしょう。即ち中学生・高校生向けです。「試験の問題作成と対策本、講座の制作担当者を完全に分離する」ということを強調することによって「公平性」を打ち出していますが、裏を返せば、ETS程規模が大きくないので対策本、講座で収益を図るために新規投資して人員増するということでしょう。大学共通テストに採用されたことを契機に英検からの顧客奪取を狙っているものと思います。

TOEFLiBTを行うETSは「テストの内容に慣れてもらうことがベストの対策だ」と狙いを話しているようです。正直なコメントです。

GTECとTOEFLiBTは過去問も公開。英検は従来から毎年過去問を販売しています。

実施団体が参考書を出版することについて、昨年11月の衆議院文部科学委員会で「公的な試験の出題者が自らビジネスチャンスをつくる」と問題視する質問が出たが、柴山昌彦文部科学相は「民間事業者の出版、営業活動を禁止するものでない」と答弁し、問題はないとの考えを示した。

しかし、東京大大学院の阿部公彦教授(英米文学)は「本番の試験内容に近くなければ参考書として意味がない。『的中』の問題が参考書に掲載されることはないだろうが、グレーゾーンの問題が紛れ込む可能性は否定できず『利益相反』だ」と指摘しました。

著者は、何れ顧客の奪い合いが起り、結果としてグレーゾーンの問題を意図的に紛れ込ませる、或いは出題される問題を知った上で「塾」で証拠を残さないように口頭だけで練習するという現象が起るのではないかと推測しています。前にも書きましたが、大学共通テスト英語に8種類もの民間業者のテストを採用したこと自身「大学入試」に求められる従来の日本人の感覚による公平性という点からは愚策です。