(23)a の語源は an(ひとつ)

「不定冠詞は母音で始まる語の前では an を使う」と習いました。そこから何となく「a」が先に使われ、その後「an」の使い方が追加されたイメージがありますが、歴史的にみれば数詞「an」から不定詞の用法が分かれたのです。「ひとつ」という意味が弱まると同時に発音も軽く「アン」になり、数詞から不定冠詞に性格を変えたのです。

その後、12世紀中頃、子音で始まる語の前では「n」が落ち a という形で使われるようになりました。子音の前での an から a への変化は緩やかでしたので「h」「w」「j」の音が使われる「house」「woman」「useful+名詞」などの前では長い間 an が使われたようです。1847年に発表された『ジェーン・エア』には an hospitalという例があるそうです(「英語の歴史から考える 英文法の『なぜ』」)。「hotel」はイギリスでは [outel] と発音されることがあります。イギリス英語では時として「an historical document」と綴られますが、これは [istorikl] の発音もあるからです。「hospital」も当時 h を発音していなかったのかも知れません。「woman」の [wu]の音も母音と認識されていたとしてもおかしくありません。「j」は現代では半母音と呼ばれ、母音としての性質を残しています。

「不定冠詞は母音で始まる語の前では an を使う」は現代英語では確立されたルールです。