(29)進行形の起源

以外なことに古英語には「進行形」というものはなかったようです。シェークスピア(1564−1616)は現在形で現在進行形の意味を表していました。17世紀に入って現在進行形が使われるようになりました。現代では「I drink beer.」と「I am drinking beer.」では意味が違いますが、昔は文脈から正しい意味を把握していたのでしょう。

古英語にも現在分詞はありましたが singing gulls(歌うかもめ)のように主に名詞を修飾する使い方でした。

中期英語には現在の英語でいうと「while the mass is on singing(会衆が歌っている途中)」「while the gospel was on reading(聖書が読まれているとき」という言い方が見えます(オックス英語辞典)。この「on」の使い方は現代では「on duty」「on a strike」「on a diet」等に見ることができます。

進行形の起源は定かではありませんが、この「on」が音的に弱化し、消滅したことによって「be + …ing」の形が生まれたという説が有力なようです。現在はこの「…ing」は現在分詞ですが、この説に従えば、かっては動名詞だったことになります。「英語の歴史から考える 英文法の『なぜ』」(朝尾幸次郎 大修館書店)には『ハックルベリー・フィンの冒険(1885)』のなかに「I was a-spinning down stream soft but quick」という箇所があり、この「a-」は「on」の名残であると書いてあります。

現代では「go shopping 」「go fishing」「go skiing」という言い方をしますが、何れも「go o shopping 」「go on fishing」「go on skiing」そして「go a shopping 」「go a fishing」「go a skiing」を経て現在の形になったものです。1611年に発行された欽定訳聖書では「go a fishing」という表現が使われています。

「alive」「around」「ashore」「asleep」の「a」は皆前置詞「on」が変形したものです。