(16)「・・・とき」と「when 節」

日本語では『家を出るとき「行ってきます」と言います』『家を出るとき「行ってきます」と言いました』と言います。『家を出たとき「行ってきます」と言います』『家を出たとき「行ってきます」と言いました』も通常の状況では変ですが、文法的にはOKです。

日本語では「ル形」は「その行為が未だ終わっていない」ことを含意します。一方「タ形」は「その行為が未終わった」ことを含意します。ですから前の2つはまだ家の中にいて、「行ってきます」と言う/言ったということになり、後者は玄関の戸を閉めた後で言う/言ったということになります。

一方英語の「when 節」の動詞は主節の動詞が現在形であれば現在形を、過去形であれば過去形を使います。即ち『家を出るとき「行ってきます」と言いました』は英語では『家を出たとき「行ってきます」と言いました』と表現しなければなりません(英語話者は現時点でその行為が過去の世界に見えれば過去形を使うということです)。日本語につられて「When I go out of the house, I said, “I’m going.” 」のような英語を書く生徒さんが沢山います。「アメリカに行く前に、猛烈に英語の勉強をした」も英語では「行った前に」と表現しなくてはなりません。

『家を出たとき「行ってきます」と言います』は、通例、変な日本語に響きますが『家を出たとき、いつも山田さんに会います』は自然な日本語です。英語では主文の動詞が現在形ですから「when 節」の動詞も現在形になります。「When I go out of the house, I always see Mr. Yamada. 」。

主節の動詞が現在形であれば現在形を、過去形であれば過去形を使わなければならないというルールは、極めて少ない例外を除いて、守るべき英語のルールです。「彼は、太陽は東から登る、と言った」を間接話法で表せば「He said that the sun rises in the east.」(ハワイではfrom the east)と所謂「時制の一致」は行いません(「太陽は東から登る」は話者の発話時にも現在の世界に見えるので)。