今、石山輝夫著の「日本人に共通する英語のミス」(The Japan Times)を読み返しています。

「4月10日のご送金に対する領収書をここに同封してお送りいたします」という場合、次のどちらが正しい冠詞の使い方だと思いますか?
(A)I am enclosing the receipt for your April 10 remittance.
(B)I am enclosing a receipt for your April 10 remittance.

(A) を選択された方は、多分、「receiptがfor your April 10 remittanceで修飾されており<特定化>されているから theだ」と判断されたものと思います。確かにtheを付けるためには<特定化>は必要条件ではありますが、十分条件を満たしてはいません。theを付けるためには「例の領収書」といえるような領収書でなければなりません。例えば、事前に「4月10日の送金には、この領収書を使って欲しい」と事前に渡された領収書に日時・金額・受取人名等必要事項を記入の上押印して送り返すような場合です。

相手は送金したら領収書を送ってくることを知っていたとしても、実際に送られてきた領収書そのものは初めて見るものであり、『<未知>との遭遇』になります。

一方、「世界に唯一の事物と特定されない場合=<one of 複数>といい換えることが可能な事物には、a が付く」という原則もあります。上記(B)の例文の場合、この条件を満たしているでしょうか?屁理屈に聞こえるかも知れませんが、4月10日のご送金に対する領収書を書いた時、スペルミスをしたとか、金額を書き間違えたとかして何枚も書き直したこともあり得ます。その場合<one of 複数>の条件を満たすことになります。現実には1枚しか書かなかったから<one of 複数>といい換えることが出来ない、という主張もあるでしょう。しかし、あなたが4月10日のご送金に対する領収書を1枚しか書かなかったことは相手と情報は共有されていませんよね。「俺、彼女ができたんだ」と友達に告げる場合、自分では特定できていても、相手と情報は共有できていないので「I’ve got a girlfriend.」と「a が付く」のと同じ理屈です。