前回に引き続き冠詞の問題を取り上げます。

「小社の新事業の開始を祝うパーテイにご招待致します」という場合、次のどちらが正しい冠詞の使い方だと思いますか?
(A)We are glad to invite you to the party to celebrate the start of our new business.
(B)We are glad to invite you to a party to celebrate the start of our new business.

(B)を選択された方は、多分、前回と同様、「partyがto celebrate the start of our new businessで修飾されており<特定化>されているから theだ」と判断されたものと思います。確かにtheを付けるためには<特定化>は必要条件ではありますが、十分条件を満たしてはいません。theを付けるためには「例のパーテイ」といえるようなパーテイでなければなりません。「例のパーテイ」と言えるのは自分も相手も出席していて、お互いに話をしたような過去のパーテイの場合です。ですから「まだ実現していないことには aを用いる」傾向が強いということが言えます。まだ実現していなくても、例えば、事前に「今度新規事業を祝うパーテイをやりますので、是非ご参加頂きたい」というような話をしていたような場合には「the」を用いることは可能です。しかし、その場合には送る招待状の内容が変ってくるハズです。例えば「We are glad to invite you to the party, which we talked about the other day, to celebrate the start of our new business.」相手が誰かから聞いて、そのパーテイのことを知っていて、そのことを招待者側も知っていたとしても、「社交上の建前」から「いまはじめてお知らせします」の趣旨で「a」を付けます(「日本人に共通する英語のミス」)。著者なら、その上で、附箋か何かを付けて前に話したことを付け加えます。

ここでもう1つ取り上げたいのが、何故「the start of our new business」と「the」なのかということです。「start」は「回数」で数えることが出来ますので可算名詞。且つ、単数形ですので「a」又は「the」が付きます。

「a」ですと、前回述べたように「one of the starts」の意になり、同じ新規事業を何回も開始するということはあり得ません。ですから選択肢は「the」しかないことになります。しかし「the」とするならば、相手もその新規事業の開始を知っていて当然だと思う心理が働いている状況が必要ですが、この場合はどうでしょうか。このような文面で招待状を出す場合には、通例それまでにその新規事業について話をしている人々にしか出さないと思われますので招待者側にはそのような心理が働いて、不自然さは感じないと思われます。もし唐突感がありそうだと感じた場合には、文面を変えて、「突然のお話しで恐縮ですが、実は当社はこの度、・・・という新規事業を開始することにしました。ついては、その新規事業を開始するパーテイにご出席頂けないでしょうか」のようにすると思います。