「社会人のための英語回路構築トレーニング自習帖」著者のブログ

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2019年06月

動詞には未来形なるものはない

(16)動詞には未来形なるものはない

「現在のことを表現するには現在形を使い、過去のことを表わすには過去形を使う」とは言えますが、未来のこと(今より後にあると推量する事柄)を表わすには色々の方法があって、決して単一の「未来形」なるものは存在しません。「英文法上の時制とは、事実及び事実の否定を表わすのに適用される動詞のルールの1つ」なのです。「未来のこと」は未だ事実ではないので時制の適用はないし、事実に反することを述べる場合には「時制」ではなく「仮定法」というルールが適用されるのです。will / shall は、未来のことを表わす時に使えますが、未来のことを表わすのは will / shall の専売特許ではありません。例えば、The Christmas holidays begin next week and the trunks are up.(来週、クリスマス休暇が始まります。トランクは荷造り完了です)(「あしながおじさん」から)。これは日本語でも同じで「明日は雨だった」とは言えませんが「明日は雨だ」とは言えます。「明日は雨でしょう」は単に推量を表しているに過ぎません。

昔から英語の動詞には「未来形」なるものはありませんでした。現在では次のような使い方で「未来」を表します。
The boys start school on Monday. / I leave tonight.(上記の例と同じ)
The boys are starting school on Monday. / I’m leaving tonight.
will/shall を使う。
be going to を使う。

現代では未来を表すのに一番多く使われるのが「will」です。
「will」の語源は古英語の動詞「wyllan」で「・・・しようと欲する」の意でした。動詞ですから勿論活用しました。例えば単数の現在形は1人称がwille、2人称がwilt、3人称がwilleでした。近代英語の初期に1人称、3人称は語尾の母音が落ちて「will」になりましたが、2人称のwiltはそのまま使われていました。

古英語では未来は未来を表す語(句)、文脈とともに「現在形」を使っていたようです。上記の,汎韻検そして「will」はある時期から「・・・しようと欲する」から「・・・する意思がある」を表す助動詞へと発展しました。現代の「will」は文脈により多様な意味(「・・・するつもりだ」「・・・しませんか、してくれませんか」「・・・しようとしない」「いつも・・・する」「本来・・・するものだ」「・・・するでしょう」「今・・・でしょう」)を付与しますが、その底流には「・・・する意思がある」が働いています。

一方「shall」は古英語「sceal」が語源で「負うている、義務がある」の意でした。マッカーサーがフィリピンから脱出したとき「I shall return.」と言った話は余りにも有名ですが「私は戻ってくる義務がある(神に対して)」⇒「きっと戻ってくるぞ」の意です。「shall」が単純未来の意で使われている場合は「神に対して義務がある」⇒「そうなるであろう」の意だと考えるとよいでしょう。イギリスで単純未来に「shall」が使われのはこんな意識が働いていることも影響しているのだと思います。

私が学校で勉強していた時から現在まで、英和辞書の多くが will について「(単純未来)・・・だろう」「・・・でしょう」という訳語をつけていますが、これには注意が必要です。will は未来を表わすことができますが、ほとんどの場合「・・・だろう」「・・・でしょう」という訳語は当てはまりません(広辞苑によれば、「・・・だろう」「・・・でしょう」は「推量」を表します)。It will rain tomorrow.は「明日は雨でしょう(推量)」で違和感のない日本語ですが、I will be 14 years old this year.を「私は今年14才になるでしょう」と訳したら、日本語としては大変違和感を覚えますよね。「単純未来」「意志未来」という区分は害が多いので捨てた方がいいと思います。「単純」なのか「意志」なのかは「主語が1人称なのか(意志を表明できる)、2人称なのか(意志を尋ねることはできる)、それとも3人称なのか(意志は表明できないし、会話に参加していないので尋ねることもできないので推量するしかない」「音(will をどのように発音するか)」と「状況(どんな文脈で使われるのか)」によるのです。更に言えば、口語では I will も I shall(英)も I’ll ですので区別はつきません。

イギリス英語では1人称が主語の場合は「shall」を「単純未来」「意思未来」の両方に使った時代があり(現在も使う人がいるようですが)、今学習している我々を混乱させます。I shall be at home at six. はどちらにもとれます。

「時を表す副詞節では未来の意味を表すのに現在形を使う」と習いました。when, before, till, as soon as 等の時を表す接続詞に導かれる場合は、過去形が使われる場合を除けば「・・・するとき」の意ですから現在形でも「未来」を表すことになります。「時を表す副詞節では未来の意味を表すのに現在形を使う」というルールは英語には未来形がないことを再認識させてくれます。

go-went-gone

(15)go-went-gone

(14)を読まれた方は、これも異なった語源が合わさった結果だと推察できると思います。

「go」の語源は古英語の「gan」(行く、歩く、進む)です。「went」の語源は辞書で調べると「古英語 wend の過去・過去分詞形」と書かれています。この古英語の「gan」には何故か過去形がなかった(?)のでwend の過去形だけを借りてきたらしいです(普通の人は文法を考えてしゃべっているわけではありません。古期英語といっても現在歴史に残っている資料に「gan」の過去形がなかったとしても、その前にはあった可能性は否定できません。wendという同じような意味の過去形に吸収されたのかも知れません)。wendは現在も生き延びて「He wended his way home.(彼は家路をたどった)」のように使われます。

「good –better - best」も何故こんな活用をするのかと恨みながら覚えましたが、これも同じような経緯があったことが語源を辿ると分かります。

これまでいくつかの例を見てきましたが、昔の英語は今我々が使っているより遥かに複雑な活用をしていたが、英語が幅広く使われる中で「簡略化」が進んで今日の姿となったが、一部昔の姿を引きずっているのだと理解できました。今日でも、著者が多少は知っているドイツ語、フランス語、スペイン語は英語より遥かに複雑な活用をします。著者も年を取ってからスペイン語に挑戦しましたが、動詞の活用で頓挫しました。

何故「be動詞」は複雑に活用するのか?

(14)何故「be動詞」は複雑に活用するのか?

著者の英和辞書の不規則動詞変化表を眺めていると、「be動詞」だけが他の不規則動詞に比べて異常に複雑な変化をしていることが改めて実感されます。
原形:be [am, is, are]
過去形:was, were
過去分詞形:been

ジーニアス英和辞典でこれらの語源を調べてみました。
be: 古英語 beon(ある)
am: 古英語 eom
is: 古英語 is
are: 古英語 aron(?)⇒eartとしているものもあります(下記参照)
was: 古英語 wesan
were: 古英語 w a re,w aron
been: 記載なし

「英語の歴史から考える 英文法の『なぜ』」(朝尾幸次郎 大修館書店)によると、活用がこのように複雑なのは3つの動詞の系列が集まってできたかららしいです。古英語では「・・・である」という意味には eom/eart/isが使われ、未来の文脈ではbeon系列、過去を表すのにはwesanを原形とする「w-」で始まる系列が使われていたとのこと。

数ある動詞の中で使用頻度がダントツに高いのが「be動詞」でしょう。人々が毎日極めて頻繁に使っていたため英語の簡素化の波にも飲み込まれないで今日まで生き延びてきたものと思います。

「Be a driver.」というコマーシャルがありますが、「ドライバーになりましょう」(Google翻訳)の意ですが、未来の文脈ではbeon系列が使われた名残でしょう。「Be quiet.」も「これから静かにしろ」の未来の文脈で使われているのです。決して「静かにしていろ」ではありません。

何故「3単現」に「-(e)s」をつけるのか?

(13)何故「3単現」に「-(e)s」をつけるのか?

結論的に言えば、現時点では明快な答えはないようです。著者なりに想像してみます。

動詞の歴史も名詞の場合と同じく「簡易化」の歴史です。例えば現代の「sing」の語源は古英語の「singan」(シンガン)です。そして古英語では不定詞の語尾は「-an」でしたので「singan」は不定詞形でした。人称によって次のように活用しました。著者は大学の第二外国語でドイツ語を選択しましたが、ドイツ語の活用とよく似ています。
直接法現在:
単数1人称 singe(シンゲ)
単数2人称 singest(シンゲスト)
単数3人称 singep(シンゲス)
複数(1−3人称)singap(シンガス)

屈折語尾「-an」には強勢がありません。このため母音は弱く発音され、やがて「singan」は「singen」(シンゲン)と綴られるようになり、その後、語尾の「n」が落ちて「singe」になり、更に「e」も落ちて現在の「sing」となった経緯があります。上記の他の活用形も同じ様に語尾の屈折を落としていきましたが、単数3人称の語尾「-ep」(エス)だけが頑強に抵抗し、今日まで形は少し変りましたが生き残ったのです。

それでは何故生き残ったのでしょうか?ここから先は筆者の想像を交えて書きます。
この「-ep」(エス)はブリテン島の中部・南部で使われていました。後にこの「-ep」は中期英語から近代英語にかけてブリテン島北部で行われていた「-(e)s」に置き換わりました。理由は定かではないようですが、「-ep」だと音節が1つ増えますが「-(e)s」だと増やさなくてもよい場合が多かったことがあるかもしれません。

堀田隆一慶應大学文学部教授が興味深い視点をネット上で公開されています。
詳細は触れませんが、現在、標準英語と言われるものは、実はある「方言」を標準と認識したため標準英語となっただけで、現在でも標準英語から外れる非標準語をしゃべる英語母語の人達がいるというものです。発音の違いはよく知られていますが、筆者もアメリカで非標準英語に何回か接したことがあります。私の娘は「you was …」と言って悪びれた風は全くありませんでした。娘の周りの友だちが「you was …」と言っていたに違いありません。堀田教授はアメリカ黒人英語で「he have」の例をあげておられます。

14世紀以降,ロンドンの政治的,経済的,文化的中心地としての役割が強まり,その中心地で社会的に影響力をもつようになった階層の人々が用いていた英語が,特に公式で威信ある英語として人々に意識され,それが徐々に洗練されながら,近現代の標準英語へと発展していったのです。イギリスでは「英文法」の見直しを国家的に行ったことがありますが、多大な影響を与えたのがシェイクスピア(1564-1616)です。この「英文法」の見直しを行った人たちに大きな影響を与えたのがブリテン島の中部・南部の人達の英語だったことが「3単現」に「-(e)s」をつけるようになった遠因だと推察します。

アメリカやイギリスなどの英語を母国語とする国では、三単現のsは厳格に使われますがマレーシアやシンガポールなど、大部分の人が英語を第二言語として使う国では、日常会話において三単現のsが省略されることもあります。「三単現s」の効用もありますが、別になくても困りませんので、やがて消えて行くかも知れませんね。

何故「不規則動詞」があるのか?

(12)何故「不規則動詞」があるのか?

大抵の英和辞書の巻末には「不規則動詞変化表」が掲載されています。私の辞書で数えてみたところ、ざっと200あります。「英語の歴史から考える 英文法の『なぜ』」(朝尾幸次郎 大修館書店)によると、現代英語の動詞は約25000、その内不規則動詞はざっと数えて400、率にして1.6%だそうです。

英語の歴史は今まで述べてきた通り複雑な屈折が簡略化して行く歴史でした。動詞も「原形」「3単現(3人称・単数・現在)」「過去形」「過去分詞」の4つに簡略化されました。そして1.6%の不規則動詞を除いて「過去形」「過去分詞」は「原形」に「-ed」を規則的につければよいだけになりました。

しかし1.6%の動詞だけは昔の名残を残して不規則に変化します。何故でしょうか?

考えられるのは、現在の不規則動詞は、我々にとっても馴染みのあるものが多いことから類推して、昔の人々が日常よく使っていた動詞が多いのではないでしょうか。もしそうならば、普段使っている形を変えるのに抵抗があった為、昔の不規則活用が残ったと考えられます。

不規則動詞の一部では既に規則的に「原形」に「-ed」をつけるのもOKのものがあります(例えば show-showed-shown/showed)。言葉というものは変化して行きますので、不規則動詞は将来減って行く運命にあるのかも知れませんね。
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