日本で教える英文法で英語を母語とする人が取り上げていない「文法項目」があります。1つは「5文型」で、もう1つが「分詞構文」です。英語を母語とする人が書いた文法書では「5文型」という考え方は全くありませんし、アメリカやイギリスの学校でも教えません。「文法項目」は「現在分詞」「過去分詞」の中で、日本で教える英文法と同じような内容を取り上げています。具体的には前2回で取り上げました。
日本で教える英文法(多くの文法書を含む)では「分詞構文」は次の5つを表すと教えます。NEW CENTURY の巻末に掲載されている「英文法のまとめ」から引用。
(1) 時を表す
Walking along the street (While I was walking along the street) I slipped on a banana skin.
(2) 原因・理由を表す
Being good at mathematics, he hopes to become a scientist.
(3) 条件を表す
Seen from a distance, the tower looked like a pencil.
(遠くから見ると、その塔は鉛筆のように見えた)
(4) 譲歩を表す
Admitting what you say, I still think I am right.
(5) 付帯状況を表す
She lay awake for a long time, thinking of her future.
上記(1)(5)はAJトムソンとAVマーテイネット著の「実例英文法」に書かれている「2つの動作が同時に起る場合」「1つの動作にすぐ他の動作が続く場合」「第2の動作が初めの動作の一部をなすか、初めの動作の結果である場合」に相当します。
(2)は「実例英文法」に書かれている『現在分詞は「as / since / because +主語+動詞」の代用をすることもできます』と同じことです。
「条件」「譲歩」については「実例英文法」では直接は触れていません。
「条件」についてはTurning right, you’ll see the church. (右に曲がると教会がみえます)を例文にしている本もあります。これは「実例英文法」のいう「第2の動作が初めの動作の結果である場合」に相当します。上記(3)の「遠くから見ると」も「右に曲がると」も「条件」とは少し違うように思いますが。。。「遠くから見ると、その塔は鉛筆のように見えた」ではなく「遠くから見た時、その塔は鉛筆のように見えた」、また「右に曲がると教会がみえます」も「右に曲がると(その行為の結果)教会がみえます」のニュアンスだと思います。
「譲歩」の例に挙げられた「Admitting what you say,」は所謂「慣用句」です。「慣用句」の意味がたまたま「譲歩」を表しているだけで「分詞構文」を使っているが故に「譲歩」の意味になるのではありません。
このように見てくると、日本で教える「分詞構文」は「5文型」と同じ様に日本語に置き直す手段という視点が強すぎるように思えます。慣用句を除けば「分詞構文」は接続詞を省いた「省エネ」で、意味上の主語が何であるかだけを注意しておけば、文脈上意味は明らかになると思います。
Walking along the street I slipped on a banana skin.
=I walked along the street. + I slipped on a banana skin.
Being good at mathematics, he hopes to become a scientist.
=He is good at mathematics.+ He hopes to become a scientist.
Seen from a distance, the tower looked like a pencil.
=The tower was seen from a distance. + The tower looked like a pencil.
She lay awake for a long time, thinking of her future.
=She lay awake for a long time. + She thought of her future.
2つの文の繋がりを読者の想像に任せた用法であり、味はありますが場合によっては書いた人のイメージとは異なる解釈が行われる可能性もあります。主に「書き言葉」で使われる理由もこの辺りにありそうです。
日本で教える英文法(多くの文法書を含む)では「分詞構文」は次の5つを表すと教えます。NEW CENTURY の巻末に掲載されている「英文法のまとめ」から引用。
(1) 時を表す
Walking along the street (While I was walking along the street) I slipped on a banana skin.
(2) 原因・理由を表す
Being good at mathematics, he hopes to become a scientist.
(3) 条件を表す
Seen from a distance, the tower looked like a pencil.
(遠くから見ると、その塔は鉛筆のように見えた)
(4) 譲歩を表す
Admitting what you say, I still think I am right.
(5) 付帯状況を表す
She lay awake for a long time, thinking of her future.
上記(1)(5)はAJトムソンとAVマーテイネット著の「実例英文法」に書かれている「2つの動作が同時に起る場合」「1つの動作にすぐ他の動作が続く場合」「第2の動作が初めの動作の一部をなすか、初めの動作の結果である場合」に相当します。
(2)は「実例英文法」に書かれている『現在分詞は「as / since / because +主語+動詞」の代用をすることもできます』と同じことです。
「条件」「譲歩」については「実例英文法」では直接は触れていません。
「条件」についてはTurning right, you’ll see the church. (右に曲がると教会がみえます)を例文にしている本もあります。これは「実例英文法」のいう「第2の動作が初めの動作の結果である場合」に相当します。上記(3)の「遠くから見ると」も「右に曲がると」も「条件」とは少し違うように思いますが。。。「遠くから見ると、その塔は鉛筆のように見えた」ではなく「遠くから見た時、その塔は鉛筆のように見えた」、また「右に曲がると教会がみえます」も「右に曲がると(その行為の結果)教会がみえます」のニュアンスだと思います。
「譲歩」の例に挙げられた「Admitting what you say,」は所謂「慣用句」です。「慣用句」の意味がたまたま「譲歩」を表しているだけで「分詞構文」を使っているが故に「譲歩」の意味になるのではありません。
このように見てくると、日本で教える「分詞構文」は「5文型」と同じ様に日本語に置き直す手段という視点が強すぎるように思えます。慣用句を除けば「分詞構文」は接続詞を省いた「省エネ」で、意味上の主語が何であるかだけを注意しておけば、文脈上意味は明らかになると思います。
Walking along the street I slipped on a banana skin.
=I walked along the street. + I slipped on a banana skin.
Being good at mathematics, he hopes to become a scientist.
=He is good at mathematics.+ He hopes to become a scientist.
Seen from a distance, the tower looked like a pencil.
=The tower was seen from a distance. + The tower looked like a pencil.
She lay awake for a long time, thinking of her future.
=She lay awake for a long time. + She thought of her future.
2つの文の繋がりを読者の想像に任せた用法であり、味はありますが場合によっては書いた人のイメージとは異なる解釈が行われる可能性もあります。主に「書き言葉」で使われる理由もこの辺りにありそうです。