英語は大英帝国の植民地政策により世界各地に広がり、そこで発展を遂げた。

カナダ
カナダを最初に植民地化したのは、イギリスではなくフランスであった。東海岸にあるニューファンドランド島の沖合は大漁場があり、漁師たちは早くからやってきていたが、本格的に植民地化が始まったのは1605年である(徳川幕府は1603年)。1608年にはケベックを植民地とした。ご存知のように、ケベックの人々はいまだにフランス語をしゃべり、彼らの話す英語はフランス語訛りがある。しかし、1760年代にはイギリスに追い払われた。

カナダ人の英語は、著者の経験では、アメリカ英語と変わらない。しかし、電車の中でしゃべっているのを聴くと、カナダ人かアメリカ人かは大抵想像がつく。「やかましい」のはアメリカ人。”eh “([ei] と発音し、「・・・ね」の意味で発話の最後に現れる)を連発していればカナダ人。

オーストラリア・ニュージーランド
オーストラリア・ニュージーランドを植民地化したのはジェームス・クック(通称キャプテン・クック)である(1768年以降)。

オーストラリア英語に関して巷間知られているのは “today” が “to die” と発音され、”paper” を「パイパー」と発音することである。著者の感じではイギリス英語に近く、[ei] を強く発音しない癖に慣れれば、アメリカの南部英語よりは、遥かに分かり易い。ニュージーランド英語は余り接した経験がない。少ない経験の範囲では相当分かり難いが、個人差だったのかも知れない。

新TOEICでは「米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド」の発音で発話されているが(旧TOEICでは米国発音のみ)、皆「綺麗な」英語で、受験者の負荷が格段に増したという印象は著者にはない(米国・カナダと英国・オーストラリア・ニュージーランドの2区分くらい)。

南ア
イギリスのアフリカへの進出は、南アフリカのケープタウンのオランダの植民地を英国が植民地化したのが最初。南アの英語も、著者は接した経験は少ないが、一緒に英語を教えていた先生の英語は非常に分かり易かった。余談になるが、言語的には半分日本人、半分アメリカ人の著者の息子がロンドンに行ったとき、恥ずかしくて「アメリカ英語」がしゃべれなかった、と言っていたのを思い出す。その意味は「イギリス人の方がコミュニションという視点からみると、アメリカ人より遥かに分かり易い英語をしゃべる」ということである。植民地支配が生んだ副産物なのであろう。現在でも英語外国人のための英語教材はイギリスの外貨獲得のための「産業」である。

インド
アジアの英語の中で一番歴史が古いのがインド。1600年東インド会社の設立。1877年英国女王がインド皇帝を兼ねる英領インド帝国が成立。第二次世界大戦後にインドは独立したが、英語は現在でも補助公用語として用いられている。

彼らのしゃべる英語は日本人には聞きづらいが、書く英語は「古臭い・馬鹿丁寧な」匂いはするものの上手である。近年 IT 関連でインドが発展しているが、多くの人が、英語が使えるのと大いに影響しているものと思われる。

ピジン・イングリシュ「ピジン」は「business(ビジネス)」の中国訛りであるという説がある。植民地などで先住民との交易に使われた英語と現地語の混成語のことをいう。これが母体となって、現在「トクピシン(ピジンをトークする意)」に発展し、パプア・ニューギニアを中心に百万人程度が使っているらしい。文法が単純化し、語彙が限定される傾向にあるという。