ある方のご厚意で戦前の英語に関する資料を入手しました。その中に「昭和八年度入学試験問題」(研究社)がありました。当時の高等専門学校の英語の入試問題がどんなであったかを知ることも面白いと考え一部だけご紹介します。

「英文和訳」
Words, when well chosen, have so great a force in them, that a description often gives us more lively ideas than the sight of things themselves.(第一高等学校)
[訳]言葉は」、洗練された場合には、非常な力を宿しているもので、描写の方が事物そのものを実見するにも優して躍動的な心象を吾々に与えることが多い程である。

著者は昭和34年に受験したが、受験勉強に使った問題集も全てこのようなものでした。戦争を挟んでいますが、こと英語に関しては戦前のものをそのまま引き続いていたように思われますが、別の資料を見ると「発音」に関しては著者の学校時代よりも戦前の方が配慮されていた感じがあります。

「和文英訳」
コロンブスはいろいろの記録や報告を深く研究して大地は水と陸とで出来ていて其の形は球のやうなものに違ひないと信じた(第六高等学校)
[訳]Columbus, having studied carefully various records and reports, became convinced that the earth is round like a ball consisting of water and land.

真の英語力を見るには、このような和文英訳は最適だと考えます。少なくとも受験技術のようなものが入り込む余地はありません。採点に時間がかかるとか、客観的な点数がつけ難いといった課題はあるかも知れませんが、現在の日本の英語教育も戦前のいいところは取り入れた方がよいように感じます。今と戦前では高等教育を受ける層が全然異なりますが、発音に関しては分かりませんが、受験問題だけから判断すると、英語力そのものは戦前の方が高かったのではないでしょうか。

また、他の資料から判断するに、受験に必要な単語数の相場は4千語だったようです。