「社会人のための英語回路構築トレーニング自習帖」著者のブログ

Thank You for Visiting Me! 「英語赤ひげ先生」による「知っている英語」を「使える英語」にするための「理論」と「教材」を一挙に無料公開しています。

英文法の「なぜ」

英語は何故 SVO の語順が固定化したのか?

専門的な説明ではなく分かりやすく説明します。

日本語では名詞に「は(が)」「を」「の」「に」を付けて、その名詞の文法的な役割を与えます。ですから「私は」「あなたを」「愛しています」の語順は極めて自由です。「は(が)」「を」「の」「に」は「助詞」と呼ばれています。

英語では昔は、この「は(が)」「を」「の」「に」に対応する働きを名詞そのものの語尾を変化させることで対応していました。これを格変化と呼びますが、「は(が)」「を」「の」「に」対応する格はそれぞれ「主格」「対格」「属格」「与格」と呼ばれました。比喩的に言えば「book」という原形が「bookwa」「bookwo」「bookno」「bookni」と格変化したのです。ですから昔は現代のSVO の絶対的な語順も緩やかものでした。

ところが実際の語尾は「wa」「wo」「no」「ni」のように非常にハッキリした強い音ではなかったので、これらの語尾が弱化しやがて消滅していきました。

語尾が消滅してしまうと、これにより判断していた文法的な役割を区別する方法が必要となります。そこで採用されたのが「語順」です。I love you. を例にとれば、最初の名詞が主語で後の名詞を目的語とするルールが生まれたのです。

語順を固定さえすればよかったので理屈の上では日本語と同じように I you love. でもよかったハズです。実際、現代の言語でもメジャーな言語は SVO ですが、数の上では日本語と同じSOVの方が多いのです。VSO や VSOもあるそうです(中島・寺尾「図説英語史入門」)。

さて何故 SVO かですが、『英語の「なぜ」に答えるはじめての英語史(堀田隆一 研究社)』によれば、語順が比較的自由であった古英語(449年―1100年)でも、主節の語順はSVOだったそうですので、昔から馴染んでいたSVOが標準的な語順として定着したものと思います。起源1400年から1500年頃にはこの語順が定着したようです。

なぜ英語には主語が必要なのか

前に次のように書きました。
ある英和辞書によると、「it」は「英語では主語を立てる必要があるため天候、気温、時間、距離などを漠然とさす」のに使われます。「雨が降る」を文字通り訳すなら「The rain falls.」ですね。しかし「rain」には「雨が降る」の意の動詞としての役割がありますから、「rains」とか「rained」だけでもよさそうなものです。「snow(雪が降る)」「blow(風が吹く)」「thunder(雷が鳴る)」等も論理的主語を必要としない動詞です。古英語ではこのような動詞が40ほどあったようです(このような動詞は「非人称動詞」と呼ばれます)。そして、実際、主語なしで使われていました。「英語の歴史から考える 英文法の『なぜ』」(朝尾幸次郎 大修館書店)によると、現代英語snow の古英語は sniwan で、この3人称単数過去は snideです。「雪が降った」は「Snide.」だけでよかったようです。しかし、文が動詞で始まる言い方は疑問文と紛らわしいし(現代でもイギリス英語では「Have you any shoes like these?」のように文が動詞で始まる言い方が残っています)、与格と対格が統合され、更に名詞の主格と目的格が実質消滅し、そのかわりに語順の意識が高まると非人称動詞に主語が現れないと不安定に感じられるようになりました。そこで、主語にあいまいな状況で使用される it が主語として採用されたようです。玄関をノックしたら「Who is it?」という返答が返ってきますが、この「it」は何かを説明するのはなかなか難しいですね。あいまいな状況にはもってこいの代名詞です。その「it」を主語に立てることで文は安定したものになり、非人称動詞に主語「it」を立てることが定着しました。「It is rainy.」は「The weather is rainy.」とも言えますが、同じ主語を使って「The weather rains.」とは言えません。これには上記のような背景があるからです。なお,現代英語にも,形式上の主語を欠いた非人称構文として化石的に残っている表現がいくつかあります。
・ The opening hours are as follows:(主語の数・時制とは関係なく常に「as follows」の形で使われます)
・ As regards the point you've just made,
・ I will act as seems best.
・ Methinks you're changed so much.(methinksは「私には・・・と思われる」の意)
全て「3人称単数・現在形」で使われているところに非人称動詞扱いの名残を見ることができます。

『英語の「なぜ」に答えるはじめての英語史(堀田隆一 研究社)』には、もう少し情報が載っています。
古英語(449年―1100年)や中英語においては、主語のない文は、およそ3種類ある。
現代の命令文に相当するもの
文脈により推測されうる場合には、少なくとも現代より自由に主語を省略できた。
上記の「非人称構文」

しかし、上記の△和進「書いたもの」について述べたものだと思います。口語では現代でも文脈により推測されうる場合には省いて使っているケースもあります。毎日利用する東京の地下鉄のアナウンスでは「Arriving at …」と主語が省かれています。日本語でも「・・・に到着します」と主語を省いています。「ありがとう」も「Thank you.」です。人ではなく「物・事」に感謝する場合は「Appreciate it.」(第2音節にアクセントがあるので実際の発話は「プリーシエイテイット」のような感じになります)。主語を絶対必要とするのは規範文法で、手抜きして問題なければ手抜きをするのが言葉というものです。その規範文法ですら2つの文をand でつなぐ場合、2つの文の主語が同一の場合には後の文の主語を省くのが通例です。

なぜ「If I were a bird」と「were」が使われるのか?

「仮定法過去」
現在の事実に反することを仮定をしたり、ありそうにもないことを示す場合に使われます。形はif-節の動詞は過去形で、主節の動詞は 「would/should/might/could +動詞の原形」が基本です。if-節の動詞の形は普通の動詞の場合には過去形と同じですが、 be動詞の場合だけはI/he/she/it was(口語)とI/he/she/it were(規範文法)の両形があります。

if-節の動詞の形は普通の動詞の場合には過去形と同じですが、 be動詞の場合だけはなぜ「were」(規範文法)なのでしょうか?

答えは極めて簡単です。「be」の語源は古英語の「beon(ある)」でした。この「beon」は目もくらむほど多様な形で屈折(活用)していました。そして、現在の仮定法過去にあたる接続法過去の単数1人称、2人称、3人称が現在の「were」に当たる語だったのです。当時は他の動詞もみな屈折していて、直接法の過去と接続法の過去とは形が違っていました。ですから、「be 動詞以外の動詞はなぜ直接法過去と接続法過去とが同じになったのか」の方が問題の本質です。

そしてなぜ、「be 動詞」の接続法過去のみが生き延びたのかは、推測ではありますが、「be 動詞」の使用頻度が余りにも高く「変革」できなかった、しなかったからではないでしょうか。

現在では不規則なものが実は昔は規則的であったことの1つの例でしょう。

「-ly」なしの副詞と「-ly」をつけた副詞

前回「形容詞+ly」で副詞を作ることができることを取り上げました。ある形容詞は、形容詞と全く同じ綴字と発音で副詞の働きをするものがあります。このような形容詞も「-ly」をつければ副詞になります。では、両方の副詞の意味は全く同じなのでしょうか。言語学の初歩として「形が違えば意味も違う」というものがありますので、何らかの意味ないしは使い方の違いがあるハズです。

(1)cheap と cheaply
cheap には「安い」という意味の形容詞と「安く、安っぽく」という意味の副詞があります。ジーニアス英和大辞典の例文に「sell / get / buy / hire the book(安く売る・得る・買う・借りる)」が出ており、「通例このような動詞と共に用いられる。その場合 cheaply よりも普通。但し<正式>ではcheaplyが好まれる」と解説してあります。その他の例文:Lemons are going cheap now.(今レモンが安い) / act cheap(安っぽくふるまう)。著者の第一印象は、この使い方は文法的には副詞かも知れませんが、形容詞的な使い方だということです。即ち、the book is cheap / Lemons are cheap. / 主語=cheapだということです。昔、形容詞の与格が副詞の意味を付与した名残でしょうか。
一方、cheaplyの方は「安く、安っぽく」という意味で特に制限なしで使えそうです。

(2)clean と cleanly
「きれいに、清潔に」の意ではclean も cleanlyも同じですが、例文に挙がった「The street was clean swept.」では両者の互換性があります。「きれいに、清潔に」の意以外では、cleanには「まったく、すっかり」「鮮やかに、巧みに、ずばりと」「公明正大に」、cleanlyには「見事に、ちゃんと、容易に、なめらかに」「潔白に、不正をせずに」「正々堂々と、フェアに」「ぎざぎざのないように、まっすぐに」で似た使い方もあれば、片方にはない使い方もあります。しかし、著者の持っている英英では「まったく、すっかり」の意しか載っていなくて(I clean forgot about calling him.)、且つ informal と出ています。

『英語の「なぜ」に答えるはじめての英語史(堀田隆一 研究社)』によれば、上記のようなペアには他にも次の40があるそうです。ご興味のある方は辞書で丹念に違いをチェックしてみて下さい。
clear(ly), close(ly), dead(ly), dear(ly), deep(ly), direct(ly), due/duly, easy/easily. even(ly), evil(ly), fair(ly), false(ly), fast(ly), fit(ly), flat(ly),free(ly), full/fully, hard(ly), high(ly), just(ly), late(ly), like(ly),loud(ly), low(ly), near(ly), new(ly), plain(ly), pretty/prettily, quick(ly), right(ly), round(ly), scarce(ly), short(ly), sound(ly), still/stilly, straight(ly), strong(ly), swift(ly), wide(ly), wrong(ly)

上記のなかで著者がよく目にするものの1つがnear(ly)です。nearは She came nearer to me.と比較級で用いられることが多いです。nearly は 「nearly always (ほとんどいつも)」のように「ほとんど・・・」の意になります。

late は「遅く」、lately は「最近」。

hard(ly)については注意が必要です。生徒さんの中には「hard」は「一生懸命」で「一生懸命に」が「hardly」だと勘違いされている方がいます。「一生懸命」そのものが既に副詞です。「hardly」は「ほとんど・・・ない」の意です。「hard」の語源は古英語の「heard(激しく)」で、「hardly」の語源は古英語の「hardlice(きびしく)」で両者は元々関係のない言葉です。

皆さんは上記42の「-ly」の付かないものは皆頻繁に使われる形容詞であることに気がつかれたと思います。その頻繁に使われる形容詞の与格を表した語尾の「-e」が消滅したことにより、副詞に多大な影響を与えたとも言えそうです。

接尾語「-ly」

接尾語「-ly」を辞書で調べると
[形容詞・分詞・まれに名詞につけて]「様態」「頻度」などの意の副詞を作る//quickly/generally/seemingly/namely
[名詞につけて]
(1)「・・・のような」「・・・らしい」の意の形容詞を作る//kingly/motherly
(2)「・・・の間隔で繰り返し起る」の意の形容詞・副詞を作る//daily/monthly/yearly
(3)「・・・番目に」の意の副詞を作る//firstly/secondly/thirdly
と出ています。

kingly/motherlyは夫々kinglike/motherlikeとも言えます。ということは、△(1)の「-ly」と「…like」とは何らかのつながりがあることを示唆しています。kind の語源を辞書で調べてみると「古英語 cynd, ge-cynd(e)。『生まれ[性質]を同じくするもの』が原義」と出ています。一方「-ly」の語源は「古英語の lic で like と関係している」(Concise Oxford)です。

以上からlicは最初は△(1)の使い方がされたのであろうと推察できます。

それでは、上記,了箸なはどうして生まれたのでしょうか。
『英語の「なぜ」に答えるはじめての英語史(堀田隆一 研究社)』によれば、古英語では、形容詞は与格に屈折させると(昔は形容詞も名詞と同じ様に屈折しました)副詞機能を果たすことができたそうです。そしてlicのつく形容詞を与格に屈折させるためには e をつけて liceでした。ところが、中英語期(1100年―1500年)にかけて起った語尾の消失によりlicになってしまった。更に中英語後期(1300年―1500年)にかけて最後の子音 c が弱化・消滅し、現在の「-ly」に落ち着いたようです」。この経緯は専門的であり、我々にとっては余り意味を持ちませんが、現在上記,篭砲瓩道箸ぞー蠅里茲い發里任垢、元は△(1)の使い方であったことは面白いです。多分△(1)の使い方は「…like」という、これまた使い勝手のよいもの(doglike, catlikeのように自由に使えます)が見つかったため、そちらに道をゆずったのだと思われます。
Archives
記事検索
livedoor プロフィール

eigoakahige

Categories
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ