(9)−14 方向性を持つ前置詞

to:「・・・に向いてそこまで」「・・・に」

「・・・に向いて」と方向を示す前置詞には他に at, for, toward があります。at は「・・・をめがけて」、for, toward は「そちらの方に向かって」の意味になりますが、to は「to が支配するところまで(to の目的語のところまで)」の意味を含むと考えて下さい。従って、to の意味を「・・・に」と覚えた人は「・・・まで」と覚え直す方が、応用範囲が広いと思います。

I’m going to the bookstore.(本屋まで行くところです)。
She went to the convenience store at nine a.m. (彼女は午前9時にコンビニまで行った→9時にコンビニに着いたことを意味します)。
She went for the convenience store at nine a.m. (彼女は午前9時にコンビニに〔向かって〕行った/問題のコンビニを捜しに出かけた→コンビニに着いたかどうかは不明です)。
Tell me the way to the station.(駅までの道を教えて下さい)。for なら「駅の方に行く道を教えて下さい」の意。
Turn to the left at the next corner. (次の角で左側まで曲がりなさい→次の角を左に曲がりなさい)。
The situation changed from bad to worse.(事態は悪い状態から更に悪い状態まで変化した→事態は悪い状態から更に悪い状態に変化した)。

I teach piano to children. (私はピアノを子供たち 教えている)。SVOO(第4文型)をSVO(第3文型)に直すと、前の間接目的語(ここではchildren)の前に通常 to を持って来ます。「教えている」という行為の行き先が children ということです。「教える」という行為が直接子供たちのところまで届いているイメージになります。I teach piano for children. ならば「子供たち の為にピアノを教えている」の意になり、教える対象が必ずしも子供たちである必要はありません(授業料を子供たちの役に立てる為等)。
What happened to you? (君に〔対して〕何が起こったの?)→「起こった」という行為の行き先が you。
Keep to the right. (「右側」keep していろ→右側通行)。右側・左側という場合には「面」が意識されます。to は向かい合うイメージが発展して “touching” の意でも使えます(例えば ”Stick the paper to the wall.”〔その紙を壁とめなさい〕)。「ずーと右という面に接していろ」のイメージとなります。
Our hometown is to the northeast of the city.(我々の故郷はあります、この都市の北東に向かって、→我々の故郷はこの都市を北東に行ったところにある)。 to の代わりに on なら「この都市と北東で接して」、in なら「この都市の北東部に」の意となります。
Sleeping is important to your health. (睡眠は健康に〔直接的に〕大切だ→睡眠を取らなければ健康にはなれない)。Milk is good for your health.(牛乳は健康〔の為〕に よい→健康の為の1つの手段であるという意味です。従ってこの文で to を使うことは不可です。何故なら牛乳は健康の為の必須条件ではないからです)。

I work from Monday to Thursday.(私は月曜日から木曜日まで働いています)。
The bridge was washed away by the flood and the water rose to my breast.(洪水で橋は流され、水は私の胸まで上がって来た)。
He met a beggar on his way to the office(彼はオフィス迄の途で1人の乞食に出会った→オフィスに行く途中で1人の乞食に出会った)。

a cup of water to a cup of rice(米1カップに対して水1カップ)→ [a cup of water] が [a cup of rice] に向き合っているイメージです。しかし、主役は [a cup of water] ですので to a cup of rice は [a cup of water] を修飾していて、「米1カップに対しての水1カップ」の意です。
I prefer A to B. (Bに対してAの方が好きです→BよりAが好きです)→ prefer はラテン語から来ており、意味は like better で、動詞そのものが副詞の比較級を含んだ意味を持っています。形容詞・副詞の比較級では比較の対象を通常 than で表しますが、これが出来ないので比較の対象を、「向き合っている」イメージのある to で示します。superior(より優れている)、inferior(より劣った)、prior (〔順序が〕より前の)等も皆同じです。

He took out the key to the door of the house.(彼は、玄関の戸に向き合っている鍵を取り出した→玄関の戸に合う鍵を取り出した→玄関の鍵を取り出した)。the key of the door of the houseなら、of が「出所」と「帰属」を表しますのでthe key が the door of the house の一部である印象(例えば「飾り」)が出てきます。
They danced to music.(彼らは音楽に向き合って踊った→彼らは音楽に合わせて踊った)。
They are standing face to face (back to back)(彼らは〔顔と顔が〕向き合って〔背中合わせで〕立っている)。

次の3つは所謂イデイオムですが、何れも to のイメージは〔→〕です。
To my surprise he didn’t get angry. (驚いたことに彼は怒らなかった)。
To the best of my knowledge, he is the best.(わたしの知る限り、彼が一番です)。
To date, we haven’t received your response.(現在までのところ、ご返答を頂いておりません)。

toは、他の多くの前置詞と異なって動詞の原形を伴うことが出来、不定詞を導くのにも使われます(不定詞の項参照)。その場合もto のイメージは〔→〕です。